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東京地方裁判所 平成3年(ワ)4745号 判決 1992年6月15日

原告

猪木寛至

右訴訟代理人弁護士

池田眞規

被告

菊池久

主文

一  被告は、原告に対し、東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ及び九州スポーツの各紙第一面に別紙目録一記載の謝罪広告を同目録記載の掲載条件で各一回掲載せよ。

二  被告は、原告に対し、金三〇〇万円及びこれに対する平成三年四月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用はこれを一〇分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、東京スポーツ、大阪スポーツ、中京スポーツ及び九州スポーツの各紙第一面及び朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の各新聞の全国版朝刊社会面に、別紙目録二記載の謝罪広告を同目録記載の掲載条件で三日間連続して掲載せよ。

2  被告は、原告に対し、金五〇〇〇万円及びこれに対する平成三年四月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

4  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、昭和三五年四月以来プロレスラーとしての道を歩み、平成元年七月二三日施行の参議院(比例代表選出)議員選挙に際し、スポーツ平和党を結成して自ら出馬し、当選し、以後現在まで参議院議員の地位にある者である。

原告は、平成三年四月七日施行された東京都知事選挙(以下「都知事選」という。)に際し、同年二月七日同選挙に出馬する旨をいったん表明したが、その後、同年三月一二日に出馬断念を記者会見で発表した。

2  被告は、株式会社東京スポーツ新聞社発行の日刊紙「東京スポーツ」紙上に「永田町の熱闘」シリーズとして記事を執筆しているが、原告の右都知事選出馬の件に関して、

(一) 平成三年二月二二日付(同年同月二一日発行)の東京スポーツ第一面に、同シリーズ第三二〇回として、「猪木(都知事選)降りろ、二七億円で小沢(自民党幹事長)が説得の情報」、「磯村票食う候補は金で消せ?借金肩代わりすると」との見出しのもとに掲載された別紙目録三1記載の内容の記事(以下「本件記事①」という。)を執筆し、

(二) 更に、平成三年二月二八日付(同年同月二七日発行)の東京スポーツ第一六面に、同シリーズ第三二五回として、「小沢「商魂」に負けた猪木」との見出しのもとに掲載された別紙目録三2記載の内容の記事(以下「本件記事②」という。)を執筆し、

(三) また、原告が都知事選への出馬表明を撤回した後の平成三年三月一四日付(同年同月一三日発行)の東京スポーツ第一面に、同シリーズ第三三七回として、「猪木(不出馬)全秘密」との見出しのもとに掲載された別紙目録三3記載の内容の記事(以下「本件記事③」という。また、本件記事①ないし③を一括して「本件各記事」という。)を執筆した。

3  なお、被告執筆にかかる本件各記事は、右東京スポーツのほかに、「大阪スポーツ」「中京スポーツ」「九州スポーツ」の各紙にも掲載された。

4  本件各記事は、その内容に照らして明白なとおり、原告が自由民主党(以下「自民党」という。)の小沢幹事長から多額の金銭を受領するのと引換に都知事選の立候補表明を撤回した、というもので、読者に対し原告が対立候補者を支援する政党と裏取引をして立候補を辞退したという印象を与え、政治家としての原告の名誉を著しく毀損し原告に計り知れない信用失墜と多大の精神的苦痛を与えたものである。

5  原告の右精神的苦痛に対する慰謝料としては金五〇〇〇万円が相当であり、また、原告の名誉回復措置として請求の趣旨1記載のとおりの謝罪広告を掲載することが相当である。

6  よって、原告は被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として金五〇〇〇万円及びこれに対する不法行為の後である平成三年四月二〇日より完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、原告の名誉回復のための措置として請求の趣旨1記載のとおりの謝罪広告の掲載を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1、2は認める。

2  同4は否認する。本件各記事は、原告が自民党の小沢幹事長から金銭を受領したというものではなく、同幹事長が金銭を用意して、原告に対する出馬断念工作に着手したということを指摘したものにすぎない。

3  同5は争う。

三  抗弁

1  本件各記事は、参議院議員という公職にある原告が、いったん都知事選に出馬を表明しながら、金員授受による工作を受けて出馬を撤回するという政治家として最も恥ずべき行為について指摘したもので、その内容は真実であるから、このような公人の政治的言動にかかる事実を公表、報道することは、名誉毀損として不法行為となるものではない。

2  仮に、右金員の授受が真実でないとしても、被告は、関係者からの取材に基づいて本件各記事を執筆したものであって、事実であると信じるにつき相当の理由があったから、被告の行為は不法行為を構成するものではない。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1は否認する。

被告による本件各記事の執筆は、もっぱら自己の名誉欲の満足と売名のみを目的としたものであり、もっぱら公益を図る目的に出た場合という名誉棄損行為の違法性阻却要件を充たしていない。

また、原告は、都知事選への出馬表明の撤回に関連して、自民党の小沢幹事長から直接にも間接にも、金員の提供を受け、あるいは、借金の整理などの経済的利益を受けた事実は全くなく、本件各記事の内容は真実ではない。

2  抗弁2は否認する。

被告は不確実かつ曖昧な伝聞情報のみを根拠として本件各記事を執筆したもので、当該情報の信憑性を確認する作業を全く怠っており、真実と信じるにつき相当の理由があったということはできない。

第三  証拠関係<省略>

理由

一請求原因1、2、の事実は当事者間に争いがなく、同3の事実は被告において明らかに争わないから自白したものとみなす。

二そこで、本件各記事が原告の名誉を毀損するものであるかどうかについて検討する。

1  まず、前記争いのない事実並びに<書証番号略>によれば、本件記事①には、自民党の小沢幹事長が「猪木降ろし」に方針を転換し、小沢側近や原告と親しい有力代議士の原告説得工作が行われているとの趣旨の記載に続けて、「猪木説得のエサは何か」、「やっぱり、エサは「黄白(金)」ということになる」、「その資金として小沢執行部が用意したのが二七億円―と極秘情報は私に伝えて来た」、「この極秘情報では、猪木の借金などを小沢執行部が、全部肩代わりする形をとる―とまでいっている」という記述があり、また、本件記事②には、「いま、不出馬表明をすれば、もらえるものも、もらえなくなる。そこで、“猪中年”よろしく「出るゾ、出るゾ」とがんばっているのだ」、「いま、森が間に入って猪木と小沢の間で「出せ」「出さない」と綱引き中だ」という記述がされているのであって、これらの記事は、一般読者に対して、小沢幹事長が原告に多額の金銭ないしは経済的利益を提供して都知事選への不出馬を説得し、原告も金銭等を受領すればいつでも不出馬を表明する用意があるという印象を与えるものということができる。

そして、前記争いのない事実によれば、実際に原告が不出馬を表明した後の本件記事③には、「どうだ、世のマスコミよ、政治評論家よ、私の一連のスクープ、思いしったか」との記述に続けて、更に、「自民党候補の足を引っぱる猪木は、必ず“商魂”で降ろす―これが、小沢の幹事長としての手法だ。参院茨城補選での小上妙子を、五億円で降ろした同じ手をつかう―と読んだからだ」という記述があり、同記事は、一般読者に対し、先の二つの記事(本件記事①、②)で指摘したところが原告の不出馬表明によって裏づけられた旨を強調し、小沢幹事長が多額の金銭ないしは経済的利益を提供したことにより原告が都知事選不出馬を表明した、との印象を与えるものということができる。

2  右のとおり、本件各記事は、原告の都知事選出馬をめぐる一連の内容のものとして、近接した時期に掲載されているものであり、これらの記事を全体を通して観察すれば、本件各記事は、一体として、これを読む一般の読者に対し、あたかも原告が自民党の小沢幹事長から多額の金銭ないしは経済的利益の提供を受けて都知事選への出馬をとりやめた、との印象を与えるものであり、政治家としての原告の社会的評価を低下させ、その名誉を毀損するものといわざるをえない。

三ところで、新聞の掲載記事等が他人の名誉を毀損する場合であっても、その記事等が公共の利害に関する事実に係り、もっぱら公益を図る目的に出たものである場合には、摘示された事実が真実であると証明されたときは、右記事等の執筆行為には違法性がなく、仮に右事実が真実であることが証明されなくとも、行為者においてその事実が真実であると信じたことにつき相当の理由があるときは、右執筆行為には故意もしくは過失がなく、不法行為は成立しないものと解すべきである(最判昭和四一年六月二三日民集二〇巻五号一一一八頁参照)。

1  抗弁1(事実の真実性)について

(一)  本件各記事は、参議院議員である原告の都知事選への出馬、不出馬をめぐるもので、公共の利害に関する事実に係るものであることは明らかである。原告は、被告はもっぱら自己の名誉欲の満足と売名を目的として本件各記事を執筆したものであると主張するが、そのような意図の存在を窺わせる事情は認められず、かえって、<書証番号略>によれば、被告は、公益の目的で本件各記事を執筆、公表したものということができる。

(二)  そこで、本件各記事の真実性について検討する(前示のとおり、本件各記事は、原告が小沢幹事長から多額の金銭ないしは経済的利益の提供を受けて都知事選への出馬をとりやめたとの事実を摘示したものであるから、その真実性の証明の対象も右の事実である。)。

<書証番号略>、原告本人尋問の結果によれば、次のような事実が認められる。

① 原告は、平成三年二月六日、磯村尚徳の都知事選への出馬表明の記者会見がテレビで放映されたのを見て、自らも都知事選に出馬する決意をし、翌七日に出馬表明を行った。右出馬表明の翌日、原告は、かねて予定していたイラクに出発し、同年同月二三日に帰国するまで、外国に滞在していた。

② ところで、平成三年当時、「アントントレーディング」など原告が役員として関与している幾つかの会社が、東京佐川急便から約一七億余円の融資を受けているほか、更に、原告が代表取締役をしている新日本プロレスリング株式会社などの会社も東京佐川急便から一〇数億円の債務保証を受けており、合計すると、原告が関与する会社の債務は二七億から三〇億円という多額なものとなっていた。

③ 原告は、不出馬表明を行う数日前の平成三年三月四日の夜、東京佐川急便前社長の渡辺広康の誘いを受けて、自民党の金丸信代議士と料亭であったが、その際、小沢幹事長がその席に顔を出したことがあった。

④ その後、原告は、平成三年三月一二日、記者会見を行い、都知事選に出馬しないことを表明した。なお、原告は、右不出馬の理由として、イラクに赴いた際に出会った空爆で両腕を焼かれた少女の「戦争をしないで」という訴えを聞いたとき、自分の進むべき道を決断した旨説明している。

右のように、原告の都知事選への出馬の表明は十分な検討を経たうえのものではないこと、原告の関係する会社が多額の借財を抱えていること、原告が不出馬表明の数日前に小沢幹事長と顔を合わせていることなどの事実が認められ、また、原告の不出馬の理由には必ずしも釈然としない面があるともいえるが、しかし、これらの事実等をもってしては、原告が小沢幹事長から金銭ないしは経済的利益の提供を受けて都知事選への出馬を辞退したものと推認することができないことはいうまでもないし、他に、本件全証拠を検討しても、原告が都知事選不出馬に関係して小沢幹事長から金銭ないしは経済的利益の提供を受けたことを認めるに足りる証拠はない。

被告は、右金銭の授受があったことは真実である旨主張しているが、被告の供述及び陳述書<書証番号略>によっても、被告自身が右事実を直接確認しているというわけではないし、また、右事実を裏付ける何らかの資料を有しているというのでもなく、もっぱら他人から提供されたという情報(その詳細は明らかでない。)に依拠してそのように認識しているというだけであって、結局のところ、被告が本件各記事において摘示した右金銭等の授受の事実については、真実性の証明が十分なされていないといわざるをえない。したがって被告の抗弁1は失当である。

2  抗弁2(真実であると信じるについての相当性)について

被告は、関係者からの取材に基づいて本件各記事を執筆したものであって、真実であると信じるにつき相当の理由があった旨主張する。

しかしながら、被告本人尋問の結果によれば、本件各記事の内容は、複数の人から口頭による情報提供に基づくものであり、被告は、情報提供者と直接会って話を聞きそのやり取りの中で真実と確信したとか、他の政治家にも確認をとったと供述するものの、その具体的な取材の経緯、内容については全く明らかでなく、また、それらの提供された情報について、被告として、その真偽を確認するための独自の裏付け調査をした形跡も窺われず、本件各記事で取り上げられている小沢幹事長とか森喜朗といった人物に取材を試みようともしていないのである。本件のように、金銭等を受領して都知事選出馬を辞退したなどと指摘されることは、当該政治家にとって極めて大きな打撃を与えるものであるから、そのことを記事として執筆し、公表する以上は、執筆者において、その真偽につき十分な調査、吟味を行うべきであり、被告の前記のような取材の態様、内容は到底十分とは認め難い。

以上によれば、本件においては、被告において、原告が小沢幹事長から金銭等の提供を受けて都知事選への出馬を辞退したものと信じるについて相当の理由があったということはできず、被告の抗弁2もまた失当であるというほかない。

四慰謝料額等について

1  本件各記事が原告の社会的評価を低下せしめ、その名誉を毀損するものであることは前記認定のとおりであるところ、原告本人尋問の結果によれば、本件各記事が原告の政治活動に未だに影響を与えており、本件各記事によって原告が失った社会的名誉及び信用が未だに回復されていないと認められるから、本件においては謝罪広告の必要性が認められる。そこで、原告の名誉を回復するための謝罪広告の内容等について検討するに、本件各記事は都知事選をめぐる動きを内容とするものであること、東京スポーツのほかに、大阪スポーツ、中京スポーツ及び九州スポーツに掲載されたこと、その他本件に顕われた諸般の事情を総合考慮すれば、謝罪広告は、右各紙第一面に別紙目録一記載のとおりの謝罪広告を同目録記載のとおりの掲載条件で各一回掲載すれば足りると解するのが相当である。

2  また、本件各記事の内容その他本件に顕われた一切の事情及び前記のように被告に対し謝罪広告を命じ原告の名誉回復のための措置を講じていることを総合考慮すれば、原告が本件名誉毀損により被った精神的損害に対する慰謝料としては金三〇〇万円が相当である。

五以上のとおりであって、原告の本件請求は、被告に対し、金三〇〇万円及びこれに対する不法行為の後である平成三年四月二〇日から右支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払、並びに、被告に対し右説示に係る謝罪広告を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条本文を適用し、仮執行宣言については相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官佐藤久夫 裁判官山口博 裁判官金光秀明)

別紙目録一

謝罪広告

平成三年四月七日施行された東京都知事選挙に際し、貴殿が出馬表明をなされたことに関し、私は、「小沢一郎自民党幹事長が貴殿に対し多額の金銭を提供することにより、貴殿は出馬を取りやめる」旨の、事実に反する記事を執筆して、右記事が「東京スポーツ」紙に掲載されたことにより、貴殿の政治家としての名誉と信用を著しく傷つけ、貴殿に大変ご迷惑をお掛けしました。よって、ここに心からお詫び申し上げます。

菊池久

参議院議員

猪木寛至 殿

掲載条件

一 字格 五号活字使用

二 見出し ゴシック活字使用

三 二段組 六センチメートル幅

別紙目録二

謝罪広告

平成三年四月七日執行された東京都知事選挙にさいし、貴殿が出馬表明をなされたことに関し、私は、事実を確認しないままで、「小沢一郎自民党幹事長が貴殿に対し二七億円を提供することにより、貴殿は出馬を取り止める」旨の、虚構の事実を繰り返し執筆して、そのつど「東京スポーツ」紙に掲載し、貴殿の政治家としての名誉と信用を著しく傷つけ、貴殿に大変なご迷惑をお掛けしたことは、政治評論家としてあるまじき不謹慎な行為であると深く反省し、心からお詫び申上げる次第であります。

今後、このような、過ちを繰り返さないことをお誓い申上げ、貴殿に対し、ここに謝罪致します。

菊池久

参議院議員

猪木寛至殿

掲載条件

一、字格 五号活字使用

二、見出し ゴシック活字使用

三、二段組 七センチメートル幅

別紙目録三

1 (平成三年二月二二日付け記事)

小沢は「磯村で一本化」と大見得を切ったのだが…。鈴木降ろしは不可能となった。そこで、小沢は方針を大転換。磯村が頼りの不動票、とくに女性票をゴッソリ食う、アントニオ・猪木にターゲットを絞った。「猪木降ろし」だ。…猪木説得のエサは何か―。…やっぱりエサは「黄白(金)」ということになる。小沢は猪木を「金(かな)しばり」じゃなく「金(かね)しばり」で、降ろすことができると見込んでいるのだ。…その資金として小沢執行部が用意したのが二七億円―と極秘情報は私に伝えてきた。

2 (平成三年二月二八日付け記事)

テレビで断固出馬といっているが、スポンサーどの?から「出馬反対」といわれシュン。これで二七億円を用意して、“猪木降ろし”に動いていた自民党幹事長・小沢一郎、ニンマリ。…それにしても、本シリーズ第320回のスクープ「猪木(都知事選)降りろ 二七億円で小沢(自民党幹事長)が説得の情報」の報道大ヒットだったな、自画自賛で面映いのだが…。反響は凄いものだったから―。…いま、不出馬表明をすれば、もらえるものも、もらえなくなる。…いま、森が間に入って猪木と小沢の間で「出せ」「出さない」と綱引き中だ。

3 (平成三年三月一四日付け記事)

ありがとう、アントニオ猪木こと、参議院議員・猪木寛至よ。…ほめておく。どうだ、世のマスコミよ、政治評論家よ、私の一連のスクープ、思いしったか。…小沢一郎の心根を読んだうえのことだからだ。自民党候補の足を引っぱる猪木は、必ず“商魂”で降ろす―これが、小沢の幹事長としての手法だ。参院茨城補選での小上妙子を、五億円で降ろした同じ手をつかう―と読んだからだ。また、猪木の心境も読んだ結果が「不出馬」の見通しだったのだ。…猪木がイラクもうでをしている間に、小沢のうんと近い周辺から「二七億円で猪木降ろし」の情報が飛び込んだ。情報源は小沢が最も信頼の置く1人だったのだから信じないのがおかしい。私からいえば、小沢番の記者も小沢と親しい政治評論家も、このスクープを取材できないとは、なんとウデの悪いことよ―といいたい。

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